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小児マイコプラズマ肺炎

肺炎の10~20%程度がマイコプラズマが原因によって起こるといわれています。5~14歳の年齢に多いといわれていますが、成人にも乳幼児にもマイコプラズマは感染します。家族の誰かがマイコプラズマに感染すると家族中にうつってしまうというリスクがあります。マイコプラズマ感染症となった小児の25%が、吐き気、嘔吐、下痢などの消化器症状を起こす結果が確認されています。また、耳の痛みを訴える者もいて、中耳炎・鼓膜炎などの耳の炎症を起こしている場合もあり、筋肉痛・関節痛・発疹などが出現する場合もあります。合併症として、鼻炎、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎、膵炎、溶血性貧血、心筋炎、関節炎、ギラン・バレー症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群などが見られることもあります。


小児の肺炎では、経験的治療は大きく異なってきます。その違いは肺炎の起炎菌の違いによるもので、新生児を除く乳幼児では、肺炎の3大起炎菌といえるのはインフルエンザ桿菌、肺炎球菌、モラキセラ・カタラーリスです。成人と異なりクレブシエラ属や緑膿菌は少ないため、第3世代セフェムよりも抗菌スペクトラムの狭いペニシリン系抗生物質を選択するのが一般的と言われています。


基礎疾患や障害のある患児では、その疾患によって肺炎の起炎菌に特徴があります。また、過去の細菌検査の結果も起炎菌推定の助けになります。いずれの場合にも、喀痰培養の結果や(マイコプラズマの場合)血清診断の結果がでれば、それにあわせて最適の抗菌薬に変更していくことが必要となります。


学童以上の年齢では肺炎マイコプラズマによる肺炎が多くなります。細菌性肺炎との鑑別はX線像ではまず不可能であり、血液所見(好中球増加の有無、C反応性蛋白上昇の有無など)や全身状態、気道症状の程度などが参考となります。マイコプラズマにはβラクタム系の抗菌薬が無効であるが、テトラサイクリン系抗生物質(ミノマイシンなど)やニューキノロン系抗菌薬は副作用の問題で小児には投与しにくい、あるいはできないため、マクロライド系抗生物質を選択することになります。


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